Column

Vol.11

5月病に運動が効く理由とは?——脳神経外科医が解説する、自律神経を整える運動習慣

公開日:2026.04.19 / 更新日:2026.04.19

  • ストレス
  • パーソナルトレーニング
  • 自律神経
5月病

sazanamiのコラムは
全て医師が執筆しております。

株式会社Sazanami代表取締役 大原 啓一郎

[ 執筆者 ]

株式会社Sazanami代表取締役

大原 啓一郎

脳神経外科専門医
脳神経血管内治療専門医
日本医師会認定健康スポーツ医

予防医療と運動療法の普及に取り組む。運動と医療を、もっと身近に。心地よく通える空間で、自然と健康になれる場を作りたい。そんな想いから、
フィットネスブランド「sazanami」を立ち上げた。

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ゴールデンウィークが明けてから、「なんだかやる気が出ない」「朝起きるのがつらい」と感じていませんか。新年度の緊張と疲労が重なり、5月頃に心身の不調として現れる状態は、一般的に「5月病」と呼ばれています。

本コラムでは、脳神経外科を専門とする医師の視点から、5月病が起こる医学的なメカニズムと、自律神経を整える運動の効果・具体的な始め方までを解説します。「休んでも回復しない倦怠感」の背景には、自律神経と脳内物質の乱れがあります。正しい運動を取り入れることで、心と体をリセットする近道になります。

[ この記事でわかること ]

  • 5月病が起こる医学的メカニズム
  • 運動が5月病に効く3つの理由
  • 脳神経外科医がおすすめする4つの運動処方
  • 運動と組み合わせたい生活習慣のポイント
  • 医療機関の受診を検討すべきサインと運動療法との併用
  • パーソナルトレーニングという選択肢
[ 目次 ]

1. 5月病とは?——新生活の疲れが身体に現れる理由

1.1. 『5月病』は通称です


『5月病』は正式な医学用語ではなく、新生活のストレスや生活リズムの乱れを背景に、適応障害やうつ状態、自律神経症状などが重なって現れる通称です。

新年度(4月)は、入学・異動・昇進・転居など環境が大きく変わる時期です。緊張した状態で1か月ほど過ごし、ゴールデンウィークの連休で一気に緊張が緩んだタイミングで、蓄積した疲労とストレスが表面化します。これが「5月病」と呼ばれる現象の実態です。

1.2. こんな症状があれば5月病かもしれません

5月病の症状は、身体面・精神面・行動面の3つに分けられます。以下のうち複数が2週間以上続く、または日常生活に支障がある場合は注意が必要です。

  • 身体症状:倦怠感、頭痛、めまい、動悸、胃の不快感、食欲不振
  • 精神症状:意欲の低下、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下
  • 行動の変化:朝起きられない、遅刻が増える、人と会うのが億劫になる

これらは心の問題に見えても、実際には自律神経の乱れという身体現象が根本にあります。

1.3. 5月病が起こるメカニズム

ストレスにさらされ続けると、自律神経のうち交感神経(活動モード)が優位になり続けます。本来であれば休息時に副交感神経(リラックスモード)へ切り替わるはずが、この切替がうまくいかなくなるのです。

結果として、睡眠の質が低下し、脳の疲労回復が不十分になります。さらに、気分を安定させる神経伝達物質であるセロトニンの分泌が低下し、意欲低下や気分の落ち込みにつながります。つまり5月病は「気の持ちよう」ではなく、脳と自律神経の機能が一時的に低下した状態なのです。

2. なぜ5月病に運動が効くのか——脳と自律神経の観点から

女性のトレーニング風景

「気持ちの問題なのに、なぜ運動が効くの?」と感じる方も多いでしょう。ここに、5月病対策における運動の本質があります。運動は、薬に頼らずに脳内環境と自律神経を同時に整える手段として、医学的に有効性が示されています。(健康づくりのための睡眠ガイド2023)

2.1. 理由1:セロトニンが分泌され、気分が安定する

リズミカルな運動(歩行、軽いジョギング、ヨガなど)を20分以上続けると、脳内でセロトニンの分泌が増えることが知られています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定や睡眠の質に関わる神経伝達物質です。

特に朝の光を浴びながらの運動は、体内時計のリセットにも寄与し、夜のメラトニン(睡眠ホルモン)分泌にもつながります。朝の光を浴びながら軽く体を動かすことは、体内時計を整えやすく、取り入れやすい方法です。

2.2. 理由2:自律神経のバランスが整う

適度な運動は、交感神経と副交感神経の切替をスムーズにします。運動中は交感神経が優位になり、運動後の休息時には副交感神経が優位になるというリズムが、自律神経の「切替能力」そのものを鍛えるのです。

逆に、強度の高すぎる運動は交感神経を過剰に刺激し、かえって自律神経を乱す原因になります。5月病の時期は、「少し息が上がるが会話はできる程度」の中強度を目安にしましょう。

2.3. 理由3:BDNFで脳の回復力が高まる

近年注目されているのが、BDNF(脳由来神経栄養因子)という物質です。運動によって分泌が促されることがわかっており、神経細胞の成長・修復を助けます。ストレスで疲弊した脳の回復力を高めるという意味で、BDNFは5月病対策において重要な鍵です。

自律神経の仕組みや運動との関係については、自律神経を整える運動とは?——脳神経外科医が解説する、自律神経の乱れと運動の関係もあわせてお読みください。

2.4. 脳神経外科医の視点——「軽い運動」で十分な理由

脳神経外科の臨床では、頭痛・めまい・自律神経失調症状を訴える方を多く診察します。そこで強く感じるのは、症状が出ている時期に激しい運動は禁物だということです。

すでに疲弊した神経系に強い刺激を加えると、回復はむしろ遅れます。5月病の時期に必要なのは「追い込む運動」ではなく、自律神経を整え、セロトニンを分泌させる、穏やかで継続可能な運動です。この違いを理解することが、運動習慣を取り戻す第一歩になります。

3. 5月病から抜け出す運動処方【脳神経外科医おすすめ】

ここからは、実際にどんな運動を、どのくらい、どう組み合わせれば良いかを具体的にお伝えします。すべてを一度に始める必要はありません。まずは①だけから始めるのが現実的です。
(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版)

3.1. ① 朝の光を浴びる10分ウォーキング(セロトニン分泌)

  • 時間帯:起床後1時間以内
  • 所要時間:10〜20分
  • 強度:会話ができる程度
  • 頻度:週5日以上(平日の通勤でもOK)

朝日を浴びながら歩くと、セロトニン分泌と体内時計リセットが同時に進みます。駅まで1駅分歩く、コンビニまで遠回りするなど、日常に組み込める形で始めましょう。「運動のために時間を作る」よりも「既存の移動を運動に変える」発想がおすすめです。

3.2. ② 夕方の有酸素運動 20分(ストレス発散+睡眠の質UP)

  • 時間帯:夕方〜就寝3時間前まで
  • 所要時間:20〜30分
  • 強度:心拍110〜130/分(中強度)
  • 頻度:週3〜4日

日中のストレスを運動で発散し、睡眠の質を高めるのが目的です。早歩き、ジョギング、エアロバイクなどが適しています。就寝直前の運動は交感神経を刺激し眠りを妨げるため、遅くとも就寝3時間前までに終えるのが鉄則です。

3.3. ③ 就寝前の静的ストレッチ(副交感神経を優位に)

  • 時間帯:就寝30〜60分前
  • 所要時間:5〜10分
  • 強度:心地よく伸びる程度
  • 頻度:毎日

副交感神経のスイッチを入れる役割を担います。首・肩・背中・股関節まわりを中心に、ゆっくりと深い呼吸とともに伸ばしましょう。反動をつけず、1か所あたり20〜30秒キープが目安です。

姿勢のクセから肩こりや頭痛を伴う方には、デスクワークの姿勢改善ガイドで紹介しているエクササイズもあわせておすすめします。

3.4. ④ 週2回の軽い筋トレ(自律神経の基礎体力UP)

  • 時間帯:夕方が理想
  • 所要時間:20〜30分
  • 種目:スクワット、プッシュアップ、プランクなど自重中心
  • 頻度:週2回(48時間以上空ける)

筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、疲れにくい身体になります。自律神経の「土台」を底上げするイメージです。いきなりジムに通う必要はなく、自宅でスクワット10回×3セットから始めるだけでも効果があります。

3.5. 続けるコツ——「完璧を目指さない」

5月病の時期に最もやってはいけないのが、「頑張りすぎて三日坊主になる」パターンです。すでに自律神経が疲弊している状態で、無理なノルマを課せば挫折は必然。以下の3原則を守りましょう。

  1. できる日だけでOKとする(週7目標は週3でOK)
  2. 時間ではなく習慣を優先する(5分でもゼロよりはるかに価値がある)
  3. 記録をつける(歩数アプリやカレンダーで可視化するとモチベーション維持)

ここまで読み進めて「一人では続けられる自信がない」と感じた方は、医師監修の運動処方を受けるのも選択肢です。sazanamiでは、体調と生活スタイルに合わせて無理のない運動プランを個別に設計しています。

4. 運動と合わせて取り入れたい生活習慣

日光を浴びる男性

運動の効果を最大化するには、生活習慣の整え方も重要です。5月病からの回復を加速させるポイントを4つ紹介します。

4.1. 朝食でトリプトファンを摂る(セロトニンの材料)

トリプトファンは、セロトニンやメラトニンの材料になる必須アミノ酸で、体内で合成できないため食事から摂る必要があります。主な供給源は、卵、乳製品、納豆や豆腐などの大豆製品、肉、魚などのたんぱく質食品です。朝食でこうした食品をとることは、規則的な食事習慣の一部として、体内時計や睡眠・覚醒リズムを整える助けになります

4.2. 就寝90分前の入浴で深部体温を整える

38〜40℃のぬるめのお湯に15分ほど浸かると、深部体温が一度上がり、その後下がる過程で自然な眠気が訪れます。ぬるめの入浴は副交感神経を優位にし、睡眠の質を高めます。シャワーだけで済ませる習慣は、5月病の時期だけでも見直す価値があります。

4.3. 夜間のスマホ使用を減らしメラトニンを守る

ブルーライトは脳を「昼間」と誤認させ、メラトニン分泌を抑制します。就寝1時間前はスマホ画面の明るさを下げ、できればSNSや仕事メールから離れましょう。睡眠の質が上がれば、翌朝の倦怠感は大きく改善します。(健康づくりのための睡眠ガイド2023)

4.4. 一人で抱え込まない

5月病は「甘え」ではなく、環境変化に適応しようとする身体の反応です。信頼できる家族・友人に気持ちを話すだけでも、ストレスが軽くなることがわかっています。運動・食事・睡眠を整えても改善しないときは、次の項目を参考にしてください。

5. それでも改善しない場合は医療機関へ

運動と生活習慣の改善で、2〜4週間ほどで軽快する方がほとんどです。しかし、以下のようなサインがあれば医療機関の受診を検討してください。

  • 2週間以上、強い抑うつ気分が続いている
  • 「消えてしまいたい」などの考えが浮かぶ
  • 食欲・体重の明らかな変化(増減5%以上)
  • 不眠が1週間以上続き、日中の活動に支障がある
  • 動悸・息苦しさなど身体症状が強い

受診先の目安は、心療内科・精神科・かかりつけ内科です。脳神経外科の領域では、頭痛やめまいが強い場合の鑑別も行います。運動療法と医療的サポートは相反するものではなく、併用することで回復が加速するケースも多く見られます。

6. sazanamiの医師監修パーソナルトレーニングで無理なく始める

sazanamiでのトレーニング風景

「一人では続けられない」「自分の体調に合った運動がわからない」
そんな方のために、sazanamiでは脳神経外科医の監修経験豊富なトレーナーによる個別運動プログラムを提供しています。

6.1. sazanamiが5月病対策に選ばれる理由

  • 医師が運営するパーソナルジム:自律神経や睡眠、頭痛などの不調に配慮した運動処方が可能
  • 個別プログラム:体調・生活リズム・目的に合わせて、無理なく続けられる内容を設計
  • 心地よいプライベート空間:周囲の目を気にせず、自分のペースで取り組める環境
  • 五反田駅徒歩7分の通いやすい立地:仕事帰りや休日のルーティンに組み込みやすい

気分が落ち込んでいる時期こそ、「一人で頑張らない」選択肢があることを覚えておいてください。トレーナーと一緒に動くだけで、継続率は大きく変わります。

6.2. まずは初回体験から

  • 初回体験:¥2,500(通常価格から半額)
  • 所要時間:約90分のカウンセリング+トレーニング
  • 持ち物:動きやすい服装のみ(シューズ・タオルは無料貸出)

初回体験予約はこちら

7. まとめ

5月病は「気の持ちよう」ではなく、自律神経と脳内物質の乱れが背景にある、れっきとした身体現象です。だからこそ、自律神経を整える運動が効果的なアプローチとなります。

まずは朝の10分ウォーキングから。続けるうちに、セロトニンが分泌され、睡眠の質が上がり、気分が安定していきます。それでも改善しない場合は、医療機関に相談することをためらわないでください。

運動・食事・睡眠・そして専門家のサポートを組み合わせて、新年度の疲れをリセットしましょう。sazanamiは、その一歩を踏み出すあなたに寄り添うパーソナルジムです。

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5月病と運動に関するよくある質問

  • 5月病にはどんな運動が一番効果的ですか?

    朝の光を浴びながらのウォーキングがおすすめです。セロトニン分泌と体内時計リセットを同時に促せるため、気分の安定と睡眠の質改善に直結します。時間は10〜20分、会話ができる程度の強度で十分です。激しい運動は自律神経を逆に乱す可能性があるため、5月病の時期は穏やかで継続しやすい運動を優先してください。

  • 5月病はどのくらいで治りますか?運動で早く回復できますか?

    軽症〜中等症であれば、生活習慣を整えながら2〜4週間ほどで自然に軽快する方が多いです。運動を取り入れることで、セロトニン分泌の促進・睡眠の質向上・ストレス発散が同時に進むため、回復までの期間を短縮できる可能性があります。ただし、抑うつ気分が2週間以上続く・食欲や体重の大きな変化がある・日中の活動に支障が出ているといった場合は、適応障害やうつ病に移行している可能性があるため、医療機関での相談をおすすめします。

  • 5月病に筋トレは効果がありますか?

    はい、効果があります。ただし5月病の急性期は「軽い負荷・短時間」から始めるのが鉄則です。筋トレは継続することで基礎代謝と自律神経の「土台」を底上げし、ストレスに強い身体をつくります。スクワット10回×3セット、プッシュアップ、プランクなどの自重トレーニングを週2回、48時間以上の休養を挟みながら行うのがおすすめです。いきなり高重量や高頻度に取り組むと、交感神経を過剰に刺激して自律神経の乱れを悪化させる恐れがあるため注意してください

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全て医師が執筆しております。

株式会社Sazanami代表取締役 大原 啓一郎

[ 執筆者 ]

株式会社Sazanami代表取締役

大原 啓一郎

脳神経外科専門医
脳神経血管内治療専門医
日本医師会認定健康スポーツ医

予防医療と運動療法の普及に取り組む。運動と医療を、もっと身近に。心地よく通える空間で、自然と健康になれる場を作りたい。そんな想いから、
フィットネスブランド「sazanami」を立ち上げた。

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Access/Information

店名:
sazanami Gotanda | Personal Fit
住所:
東京都品川区西五反田7丁目16-3 東京モリスビル第10 2階
営業時間:
09:00 ~ 22:00 (予約状況により変動)
定休日:
木曜日
アクセス:
・五反田駅 徒歩約7分
・不動前駅 徒歩約9分

・大崎広小路駅 徒歩約5分
連絡先:
company@sazanamifit.jp