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Vol.08
肩こりは筋トレで改善できる?——脳神経外科医が教える、肩こり解消のためのトレーニングと注意点
公開日:2026.03.29 / 更新日:2026.03.29
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「肩こりがつらくて、何をしても良くならない」「筋トレで肩こりが治ると聞いたけど、逆に悪化しないか心配」「デスクワークが長くて、夕方には肩がガチガチ」——こうした悩みを抱えている方は非常に多いのではないでしょうか。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」では、肩こりは自覚症状として女性で第1位、男性でも上位に挙げられています。
肩こりには、長時間の同一姿勢、姿勢の崩れ、運動不足、首・肩甲帯の筋持久力低下など、複数の要因が関与します。
(出典:「厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」)
本記事では、脳神経外科医の視点から、肩こりと筋トレの関係を解説します。「なぜ筋トレが肩こりに効くのか」「どんなトレーニングが効果的か」「筋トレで逆に悪化させないためにはどうすればいいか」——エビデンスに基づきながら、実践的な内容をお伝えします。
[ この記事でわかること ]
- 肩こりが起こる主な原因(
- 筋トレが肩こり改善に役立つ理由
- 肩こり改善に効果的な筋トレ・ストレッチ5選
- 筋トレで肩こりを悪化させないための注意点
- 受診が必要な肩こりのサインと、根本改善のための対処法
1. はじめに:肩こりを「仕方ない」で終わらせないために

外来で患者さんとお話しする中で、「肩こりはもう諦めています」「デスクワークだから仕方ない」という言葉をよく耳にします。
たしかに、肩こりは命に関わる症状ではないことがほとんどです。しかし、慢性的な肩こりは、頭痛や集中力の低下、睡眠の質の悪化、さらには気分の落ち込みなど、さまざまな不調を連鎖的に引き起こします。肩こりを「仕方ない」で放置することは、生活の質を静かに下げ続けることにつながります。
肩こりの改善に、特別な治療や高額な器具は必ずしも必要ありません。正しい知識に基づいた筋トレを取り入れることで、多くの方の肩こりは改善が期待できます。
2. 肩こりのメカニズム——なぜ肩がこるのか
肩こりを効果的に改善するには、まず「なぜ肩がこるのか」を理解することが大切です。
筋肉の持続的な緊張:肩こりの最大の原因は、僧帽筋(そうぼうきん)をはじめとする首・肩周辺の筋肉が、長時間にわたって緊張し続けることです。人間の頭は約5kgの重さがありますが、デスクワークやスマートフォンの使用で前かがみの姿勢になると、首や肩周囲の筋肉にかかる負担はさらに増えます。
血流の悪化:筋肉が硬く緊張した状態が続くと、筋肉内の血管が圧迫され、血流が悪くなります。その結果、疲労物質や発痛物質が蓄積し、痛みやだるさを感じるようになります。これがさらに筋肉の緊張を強め、「こり→血流悪化→さらにこる」という悪循環に陥ります。
筋力不足:見落とされがちですが、肩こりの根本的な原因のひとつが筋力不足です。とくに、肩甲骨を安定させる筋肉(僧帽筋下部、菱形筋、前鋸筋など)や、姿勢を保持するための体幹の筋力が弱いと、正しい姿勢を維持できず、肩こりが起きやすくなります。
姿勢の問題(巻き肩・ストレートネック):デスクワーク中心の生活では、肩が前に丸まり(巻き肩)、首が前に出る姿勢(ストレートネック)が固定化しやすくなります。このような姿勢の崩れは、特定の筋肉に過度な負担をかけ、肩こりの直接的な原因になります。
3. 筋トレが肩こりに効く理由

「肩こりに筋トレ」というと、「肩の筋肉を鍛えれば良い」と思われがちですが、そう単純ではありません。肩こり改善のための筋トレには、いくつかの重要なメカニズムがあります。
筋力アップによる姿勢改善:肩甲骨まわりの筋肉(とくに僧帽筋下部や菱形筋)を鍛えると、肩甲骨が正しい位置に保持されやすくなります。猫背や巻き肩が改善され、首・肩への負担が軽減されます。
血流の改善:筋トレによって筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、筋ポンプ作用が働き、血流が促進されます。蓄積した疲労物質が流れ、「こり」が解消に向かいます。
肩関節の安定性向上:ローテーターカフ(回旋筋腱板)と呼ばれる肩関節を安定させる筋群を強化することで、肩関節の動きがスムーズになり、肩周辺の筋肉への不要な負担が減ります。
痛みの閾値の上昇:定期的な運動は、痛みの感じやすさ(閾値)や気分にも良い影響を与える可能性があるとされています。
オフィスワーカーを対象とした研究やレビューでは、首・肩周囲の筋力トレーニングが痛みの軽減に役立つ可能性が報告されています。
(出典:JOSPT「Neck Pain: Revision 2017 Clinical Practice Guidelines」)
4. 肩こり改善のための筋トレメニュー5選

ここでは、肩こりの改善に効果的なトレーニングを5つ紹介します。ジムで行うものと、自宅でできるものの両方を含めています。
4.1. 肩甲骨まわりのトレーニング(シュラッグ)
鍛える筋肉:僧帽筋上部
やり方:両手にダンベル(またはペットボトル)を持ち、肩をすくめるように真上に引き上げます。2秒かけて持ち上げ、頂点で1秒キープ、3秒かけて下ろします。
回数:12〜15回×3セット
ポイント:重量よりもフォームを重視します。首を前に突き出さないよう注意。肩甲骨が上に動いているのを意識してください。軽い重量から始め、フォームが安定してから少しずつ負荷を上げましょう。
4.2. 僧帽筋下部・菱形筋のトレーニング(リバースフライ)
鍛える筋肉:僧帽筋下部、菱形筋
やり方:軽いダンベルを持ち、上体を45度ほど前傾させます。腕を横に広げるように持ち上げ、肩甲骨を寄せます。
回数:10〜12回×3セット
ポイント:巻き肩の改善に最も効果的なエクササイズのひとつです。「肩甲骨を中央に寄せる」意識が大切です。軽い重量(1〜3kg)で十分に効果があります。
4.3. ローテーターカフの強化(エクスターナルローテーション)
鍛える筋肉:棘下筋、小円筋(ローテーターカフ)
やり方:肘を90度に曲げて体側につけ、チューブまたは軽いダンベルを持ちます。肘を固定したまま、前腕を外側に開きます。
回数:15〜20回×3セット
ポイント:ローテーターカフは小さな筋肉群なので、軽い負荷でていねいに行うことが重要です。重すぎる負荷は肩関節を痛める原因になります。
(出典:AAOS OrthoInfo「Rotator Cuff and Shoulder Conditioning Program」)
4.4. 体幹・姿勢改善トレーニング(プランク)
鍛える筋肉:腹横筋、脊柱起立筋、多裂筋
やり方:うつ伏せの状態から、肘とつま先で体を支えます。頭から踵まで一直線になるように体幹を保持します。
回数:20〜30秒×3セット(慣れてきたら60秒を目指す)
ポイント:体幹が安定すると、座り姿勢の崩れが減り、結果として肩への負担が軽減されます。お尻が上がったり腰が反ったりしないよう注意してください。
4.5. 自宅でできる肩こり解消ストレッチ
筋トレと合わせて、ストレッチを取り入れることで効果が高まります。
胸筋ストレッチ:ドアの枠に腕を当て、体を前に出して胸の前面を伸ばす。巻き肩の改善に有効です。各側20秒×2セット。
首の側屈ストレッチ:右手を頭の左側にそっと添え、首を右に倒す。僧帽筋上部が伸びるのを感じる。各側15〜20秒×2セット。
肩甲骨の内転ストレッチ(キャット&カウ):四つ這いの姿勢で、背中を丸める(キャット)→背中を反らす(カウ)を繰り返す。肩甲骨まわりの可動性が向上します。10回×2セット。
5. 筋トレで肩こりが悪化する?——注意すべきポイント
「筋トレを始めたら、かえって肩こりがひどくなった」という声を聞くことがあります。これは、やり方に問題があるケースがほとんどです。
重すぎる負荷での肩のトレーニング:ショルダープレスやサイドレイズを高重量で行うと、僧帽筋上部が過度に緊張し、肩こりを悪化させることがあります。重量を追い求めるよりも、適切な負荷でフォームを重視しましょう。
首に力が入るフォーム:ベンチプレスやスクワットなど、全身のトレーニングでも、フォームが崩れると首や肩に不要な力が入り、肩こりを引き起こすことがあります。
前面ばかり鍛えるアンバランス:胸や肩の前面ばかりを鍛え、背面を鍛えないと、巻き肩が悪化します。「引く動作」と「押す動作」のバランスを意識しましょう。
ウォームアップ不足:筋肉が冷えた状態でいきなり負荷をかけると、筋肉が過度に緊張しやすくなります。軽い有酸素運動やダイナミックストレッチで体を温めてからトレーニングに入りましょう。
休息不足:毎日同じ部位を鍛え続けると、筋肉の回復が追いつかず、慢性的な緊張状態になります。同じ部位のトレーニングは中2〜3日空けるのが基本です。
6. 「この肩こりは大丈夫?」——受診の目安
肩こりの多くは、筋肉の緊張や姿勢の問題が原因です。しかし、まれに肩こりの背景に、注意すべき疾患が隠れていることがあります。以下のような症状がある場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれが出る(頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニアの可能性)
- 手に力が入りにくい、細かい動作がしにくい(頚椎症性脊髄症の可能性)
- 激しい頭痛、発熱、首が硬い(二次性頭痛の可能性)
- 発熱を伴う肩や首の痛み(感染症の可能性)
- 安静にしていても痛みが強い、夜間に目が覚めるほどの痛み
- 肩こりが何ヶ月も改善せず、悪化し続ける
とくに、手のしびれや筋力低下を伴う場合は、脳神経外科や整形外科での精密検査をおすすめします。
(出典:Mayo Clinic「Neck pain: When to see a doctor」)
7. sazanamiの肩こり改善サポート

sazanamiでは、肩こりに悩む方に向けた、一人ひとりの状態に合わせたトレーニングプログラムを提供しています。
代表の私自身が脳神経外科医として、首・肩の症状を多く診てきた経験から、「どの筋肉をどのように鍛えれば良いか」「どのような動きを避けるべきか」を医学的な根拠に基づいて設計しています。姿勢分析から始まり、肩甲骨まわりの可動性チェック、個別のトレーニングプログラム作成まで、トレーナーと連携してサポートします。
「マッサージに通っても一時的にしか良くならない」「根本的に肩こりを改善したい」とお考えの方は、筋力からのアプローチを試してみる価値があると思います。
sazanamiのサービスについて8. まとめ:正しい筋トレで、肩こりのない毎日へ

肩こりは、正しい筋トレと運動習慣によって改善が期待できる症状です。大切なのは、「やみくもに鍛える」のではなく、肩こりの原因となっている筋力のアンバランスや姿勢の問題を理解し、それに合ったトレーニングを行うことです。
まずは、この記事で紹介した5つのエクササイズのうち、できそうなものから始めてみてください。週2〜3回、1回15〜20分で十分です。1ヶ月も続ければ、肩まわりの軽さの変化を実感できるはずです。
自分だけでは正しいフォームが分からない、自分に合ったメニューを知りたいという方は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
sazanamiでは、肩こりの根本改善を目指すトレーニングを、医師の視点を取り入れながらご提供しています。
肩こりと筋トレに関するよくある質問
-
肩こりがひどいときに筋トレをしても大丈夫ですか?
肩こりがひどいときでも、軽いストレッチや低負荷のトレーニングであれば問題ないことが多いです。むしろ、血流を促進して症状が楽になるケースもあります。ただし、痛みが強い場合や、しびれを伴う場合は無理せず、医療機関に相談してください。急性の痛みがある場合は、痛みが落ち着いてから再開しましょう。
-
筋トレを始めたら肩こりが悪化しました。どうすればいいですか?
まず、フォームに問題がないか確認してください。とくに、重すぎる負荷を使っていないか、首に力が入っていないか、前面(胸・肩前部)ばかり鍛えていないかを見直しましょう。リバースフライなどの「引く系」のトレーニングを増やし、僧帽筋下部や菱形筋を強化すると、バランスが改善されます。それでも悪化が続く場合は、パーソナルトレーナーにフォームチェックを依頼するか、医療機関を受診してください。
-
デスクワーク中にできる肩こり予防のエクササイズはありますか?
はい。1〜2時間ごとに、肩甲骨まわし(両手を肩に置き、肘で大きな円を描く。前後各10回)、首の側屈ストレッチ(各側15秒)、顎引き運動(5秒キープ×10回)を行うと効果的です。いずれも座ったままでき、所要時間は2〜3分です。「長時間同じ姿勢を続けない」ことが、肩こり予防の最大のポイントです。
Access/Information
- 店名:
- sazanami Gotanda | Personal Fit
- 住所:
- 東京都品川区西五反田7丁目16-3 東京モリスビル第10 2階
- 営業時間:
- 09:00 ~ 22:00 (予約状況により変動)
- 定休日:
- 木曜日
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- ・五反田駅 徒歩約7分
・不動前駅 徒歩約9分
・大崎広小路駅 徒歩約5分 - 連絡先:
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