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Vol.06
頭痛と運動の関係とは?——脳神経外科医が解説する、頭痛を和らげる運動習慣と注意点
公開日:2026.03.14 / 更新日:2026.03.14
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「運動した後に頭痛がする」「運動不足が続いて頭痛がひどくなった気がする」「頭痛持ちだけど、運動しても大丈夫?」——そんな悩みや疑問を持つ方は少なくありません。
頭痛は非常に身近な症状で、片頭痛を含む頭痛性疾患は生活の質に大きく影響します。とくに片頭痛は働き盛りの20〜40代に多く、日常生活に支障をきたすこともあります。一方で、運動が頭痛の予防や軽減に役立つ可能性があることも、近年の研究で示されています。
本記事では、脳神経外科医の立場から、頭痛と運動の関係を整理し、「どんな運動が頭痛に良いのか」「運動後に頭痛が起きるのはなぜか」「頭痛持ちが運動する際に気をつけるべきこと」について解説します。
[ この記事でわかること ]
- 頭痛の種類と、運動との関わり
- 運動不足が頭痛を悪化させる理由
- 運動後に頭痛が起きるメカニズムと対処法
- 頭痛を和らげるために取り入れたい運動習慣
- 「この頭痛は受診すべき?」の判断ポイント
1. はじめに:脳神経外科医として伝えたいこと
脳神経外科医として、頭痛の患者さんを日常的に診察する中で感じることがあります。それは、「たかが頭痛」と我慢してしまう方が非常に多いということです。
頭痛の多くは、命に関わる病気ではありません。しかし、慢性的な頭痛は生活の質(QOL)を大きく下げます。仕事に集中できない、休日を寝て過ごしてしまう、薬に頼る回数が増える——こうした状態が続くと、心身の負担は少しずつ積み重なっていきます。
「薬を飲む」以外にも、頭痛と向き合う方法はあります。その一つが、適切な運動習慣です。運動が万能というわけではありませんが、頭痛の頻度や強さを軽減する手段として、医学的にも注目されています。
2. 頭痛の基本——「一次性頭痛」と「二次性頭痛」
頭痛を理解するうえで、まず知っておいていただきたいのが、頭痛には大きく2つの種類があるということです。
- 一次性頭痛
頭痛そのものが病気であるタイプです。代表的なものとして、緊張型頭痛と片頭痛があります。
- 二次性頭痛
何らかの病気が原因で起こる頭痛です。くも膜下出血、脳腫瘍、椎骨動脈解離などが原因となることがあります。二次性頭痛は原因疾患の治療が最優先であり、後述する「受診の目安」に該当する場合は、すぐに医療機関を受診してください。
片頭痛は、生活に支障をきたすような激しい頭痛が起きることが特徴です。吐き気を伴うことや、光・音に敏感になることもあります。頭痛が出る前に、視界にギザギザした光が見えたりなど、前兆を伴うことも特徴です。片頭痛の発症メカニズムは完全に解明されていませんが、三叉神経血管系の活性化や脳の過敏性が関与していると考えられています。
緊張型頭痛に関しては、多くの方が経験されたことがあるのではないでしょうか。最も多い頭痛疾患で、頭全体が締めつけられるような鈍い痛みが特徴です。長時間の同一姿勢やストレスなどに関連して起こりやすく、首・肩まわりの筋骨格系の負担が関与すると考えられています。。
(出典:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」)
3. 運動不足が頭痛を招く理由

「最近デスクワークが続いて、頭痛がひどい」という声をよく聞きます。これは偶然ではありません。運動不足は、いくつかのメカニズムで頭痛を悪化させる可能性があります。
- 筋肉の緊張と血行不良
長時間同じ姿勢でいると、首・肩・背中の筋肉が硬くなり、血流が悪くなります。こうした負担が、緊張型頭痛の一因になることがあります。とくにパソコンやスマートフォンの使用で前かがみの姿勢が続くと、首への負担は大きくなります。
- 自律神経のバランスの乱れ
運動不足は、交感神経と副交感神経のバランスを崩しやすくします。自律神経の乱れは、頭痛だけでなく、睡眠の質の低下、疲労感、気分の落ち込みなど、さまざまな不調の原因になります。
- ストレスの蓄積
適度な運動には、ストレスホルモン(コルチゾール)を下げ、気分を改善する効果があることが知られています。運動習慣がないと、ストレスの発散がうまくいかず、頭痛の閾値(痛みを感じやすくなるライン)が下がることがあります。
片頭痛についても、近年の研究では、定期的な有酸素運動が片頭痛の頻度を減少させる可能性が示されています。2019年の系統的レビュー・メタ解析では、定期的な有酸素運動は片頭痛日数の減少と関連すると報告されています。一方、痛みの強さや発作時間への効果は一貫していません。
(出典:Lemmens J, De Pauw J, Van Soom T, et al. The effect of aerobic exercise on the number of migraine days, duration and pain intensity in migraine: a systematic literature review and meta-analysis. J Headache Pain. 2019;20:16.)
4. 運動後に頭痛が起きる原因
「運動が頭痛に良い」と聞いて始めたのに、運動後に頭痛がするという経験は珍しくありません。運動後の頭痛には、いくつかの原因が考えられます。
- 労作性頭痛(運動時頭痛)
激しい運動の最中や直後に起こる頭痛で、拍動性の両側性の痛みが特徴です。国際頭痛分類(ICHD-3)では「一次性運動時頭痛」として独立した分類がされています。多くの場合は48時間以内におさまりますが、初めて経験した場合は、くも膜下出血、動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などの二次性頭痛を除外する必要があります。
- 脱水
運動中の発汗で水分が失われると、脳を含む全身の血流量が減少し、頭痛を引き起こすことがあります。脱水による頭痛は、水分補給で改善することが多いです。
- 急激な血圧変動
高強度の運動では一時的に血圧が大きく上昇します。とくに息を止めて力むような動作(バルサルバ法)は、頭蓋内圧の上昇を招き、頭痛の原因になり得ます。
- 低血糖
空腹状態での長時間の運動は、血糖値の低下を招き、頭痛やめまいの原因になります。
- 片頭痛の誘発
片頭痛を持つ方では、強い運動が片頭痛の発作を誘発することがあります。ただし、これは強い運動に限った話であり、適度な有酸素運動は逆に片頭痛を予防する方向に働くことが報告されています。大切なのは、急に激しい運動をしないことです。
5. 頭痛を和らげる3つの運動アプローチ

5.1. 中等度の有酸素運動
とくに片頭痛の予防に向けた運動としては、中等度の有酸素運動に比較的エビデンスがあります。ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などが取り入れやすいでしょう。
強度の目安は、会話を続けられる程度で、Borg主観的運動強度12〜16、推定最大心拍数の64〜76%程度です。
8週間以上、週3回をひとつの目安に、まずは無理のない範囲から継続しましょう。
5.2. 首・肩まわりのストレッチ
緊張型頭痛の方にとくにおすすめしたいのが、首・肩まわりのストレッチです。デスクワークの合間に取り入れるだけでも、頭痛の予防につながります。
- 首の側屈ストレッチ
右手を頭の左側にそっと添え、首を右に倒す。15〜20秒キープし、反対側も同様に行う。無理に引っ張らず、心地よい伸びを感じる程度にとどめる。
- 肩甲骨まわし
両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように前後に回す。各方向10回ずつ。肩甲骨が動いているのを意識する。
- 顎引き運動
正面を向いたまま、顎を引いて後頭部を後ろに押すように動かす。5秒キープを10回。ストレートネック(スマホ首)の改善にも役立つ。
これらは数分で行えます。デスクに座ったままでもできるので、1〜2時間ごとに取り入れるのが理想です。
5.3. 呼吸を意識したリラクゼーション運動
ヨガは片頭痛の頻度や生活への支障の軽減に役立つ可能性があり、深呼吸などのリラクゼーションは補助的な選択肢になります。
- 腹式呼吸
鼻から4秒かけて息を吸い(お腹が膨らむ)、口から8秒かけてゆっくり吐く(お腹がへこむ)。これを5分間繰り返す。副交感神経が優位になり、筋肉の緊張が和らぐ。
- ゆっくりとしたヨガ
リストラティブヨガや陰ヨガなど、ゆっくりとしたペースで行うヨガは、頭痛の軽減に有効であるとする研究もあります。
6. 頭痛持ちの方が運動する際の注意点
頭痛を持つ方が運動を始めるとき、いくつか気をつけていただきたいことがあります。
- 急に激しい運動をしない
段階的に強度を上げることが基本です。いきなりの高強度トレーニングは、頭痛を誘発する最も多い原因の一つです。ウォームアップに最低5〜10分をかけましょう。
- 水分補給をこまめに行う
運動の前・中・後に、こまめに水分を摂りましょう。脱水は頭痛の大きな原因です。とくに暑い時期や室内で汗をかく環境では注意が必要です。
- 空腹での運動を避ける
低血糖は頭痛を誘発します。運動の1〜2時間前に軽い食事や補食を摂りましょう。
- 頭痛発作中の運動は控える
とくに片頭痛の発作中は、運動が痛みを悪化させることがあります。無理をせず、発作が落ち着いてから再開しましょう。
- 頭を下げるポーズに注意
頭が心臓より低くなるポーズや、息を止めて力む動作は、頭蓋内圧を上昇させます。
- 運動日誌をつける
どんな運動をしたとき、どの程度の頭痛が出たか(または出なかったか)を記録しておくと、自分に合った運動の強度やタイミングが見えてきます。
7. 「この頭痛は大丈夫?」——受診の目安
脳神経外科医として、ここは特にしっかりお伝えしたいポイントです。
以下のような頭痛がある場合は、自己判断せず、速やかに医療機関(できれば脳神経外科)を受診してください。
すぐに受診すべき頭痛のサイン:
- 今まで経験したことのない激しい頭痛(「バットで殴られたような」と表現されることも)
- 突然始まる頭痛(数秒〜数分でピークに達する)
- 発熱を伴う頭痛
- 手足のしびれ、言葉が出にくい、物が二重に見えるなどの神経症状を伴う頭痛
- 意識がもうろうとする
- 運動中に突然起こった激しい頭痛(労作性頭痛でも初回は必ず受診を)
- だんだん悪化する頭痛(日を追うごとに強くなる)
これらは、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎、動脈解離など、命に関わる病気の可能性があります。「様子を見よう」ではなく、「念のため診てもらう」を基本にしてください。
8. sazanamiのウェルネスサポート

sazanamiでは、運動を「一時的に頑張るもの」ではなく、「無理なく続けられる生活習慣」として身につけることを大切にしています。
代表である私自身が脳神経外科医として頭痛の患者さんを多く診てきた経験から、頭痛に悩む方にも安心して取り組んでいただけるトレーニングプログラムを設計しています。急激な強度変化を避け、首・肩まわりのケアも含めた、一人ひとりの体調に合わせたオーダーメイドのサポートを行います。
大切なのは、強い負荷を一度にかけることではなく、続けられる形でからだを動かすことです。しずかな波のように、無理のない習慣を積み重ねることが、将来の健康につながっていきます。
sazanamiのサービスについて9. まずは、自分に合った一歩から

頭痛で悩んでいる方にお伝えしたいのは、「運動が怖い」と思う必要はない、ということです。大切なのは、自分の頭痛のタイプを理解し、それに合った運動を、適切な強度で始めることです。
一人で判断が難しい場合は、医師に相談したうえで、専門家のサポートのもとで運動を始めることをおすすめします。sazanamiでは、医師の視点をふまえながら、トレーナーや管理栄養士と連携し、一人ひとりの体力や生活習慣、既往歴に合わせたウェルネスサポートを行っています。
「頭痛を減らしたい」「自分に合った運動習慣を見つけたい」と感じた方は、まずはお気軽にご相談ください。無理なく続けられる健康習慣を、sazanamiで一緒につくっていきましょう。
sazanamiの体験予約はこちら頭痛と運動に関するよくある質問
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片頭痛持ちですが、運動しても大丈夫ですか?
片頭痛があっても、運動自体が禁止されるわけではありません。むしろ、定期的な中等度の有酸素運動は、片頭痛の頻度を減らす可能性が報告されています。ただし、強度の高い運動や急激に始める運動は発作を誘発することがあるため、段階的に始めることが大切です。片頭痛の発作中は運動を控え、発作が落ち着いてから再開しましょう。不安がある場合は、主治医に相談してください。
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運動後に毎回頭痛がします。続けて大丈夫ですか?
運動後に毎回頭痛が出る場合は、まず運動の強度が高すぎないか、水分補給が足りているか、ウォームアップを行っているかを見直してみてください。それでも改善しない場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。
特に、初めて経験する強い運動後頭痛では、くも膜下出血、動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などの二次性頭痛を除外する必要があります。 -
緊張型頭痛にはどんな運動が効果的ですか?
緊張型頭痛には、首・肩まわりのストレッチ、軽いウォーキング、ヨガなどが効果的です。長時間のデスクワークが原因になることが多いため、1〜2時間ごとに席を立ち、肩甲骨を回したり首を軽くストレッチしたりする習慣をつけると、頭痛の頻度が減ることがあります。
昇降式デスクを使用している場合は、立った状態で仕事をするのも効果的です。
Access/Information
- 店名:
- sazanami Gotanda | Personal Fit
- 住所:
- 東京都品川区西五反田7丁目16-3 東京モリスビル第10 2階
- 営業時間:
- 09:00 ~ 22:00 (予約状況により変動)
- 定休日:
- 木曜日
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- ・五反田駅 徒歩約7分
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・大崎広小路駅 徒歩約5分 - 連絡先:
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